一風堂に学ぶ飲食店の海外進出戦略と成長の秘訣! 鍵は日本ブランドと現地適応力の融合?
日本の飲食店は、その高品質な料理とサービスで海外でも高い評価を受けています。
本記事では、海外で特に人気のある日本のラーメン屋「一風堂」についてご紹介します。
また、なぜ一風堂が世界中で人気になったのか、その理由について解説していきます。
ABOUT IPPUDO
一風堂(Ippudo)は、1985年に福岡県で創業した日本のラーメンチェーンで、特に「豚骨ラーメン」で知られています。
「ラーメンを文化に」という理念のもと、伝統的なラーメンの枠を超えた商品やサービスを世界中で提供しており、海外でもラーメンブームの火付け役として注目されています。
また、限定メニューの開発や、フードフェスティバルへの参加など、積極的に新しい挑戦を続けています。
一風堂の海外展開
一風堂は海外初店舗として、2008年にニューヨークに1号店「IPPUDO NY」を開店しました。
また、2011年には「IPPUDO NY」が全米レストラン投票サイト「Yelp!」2010年度第1位獲得、2014年にはCOOL JAPANプロジェクトの一環で、仏パリにて「PARIS RAMEN WEEK “Zuzutto”」開催するなど、一風堂のラーメンは世界中の人々を魅了し続けています。
現在ではアジア圏や欧米など15の地域で274店舗を展開しており、多くの国で「IPPUDO」の名前は知られています。
海外事業の比率は、2024年3月期において約45%となっており、海外での出店数が国内を上回る見込みがあります。
人気の理由
ではなぜ、一風堂はここまでの海外人気を獲得することができたのでしょうか?
一つ目は、ニーズの理解です。
世界中でラーメンへの注目度の上昇している中で、一風堂は海外進出を始めました。
当時の海外には、一般的な日本のラーメン店はあるものの、ラーメンブームを創り出すほどの訴求力を持ったお店は存在していませんでした。
そこで、一風堂の創業者兼社長である河原成美氏は、アメリカ人に好まれるような斬新なデザインや創造性のあるラーメン屋の展開を図りました。
その代表例が、海外第一号店であるIPPPUD NYです。
お店には、食前酒を楽しめるウェイティングバーが設置されているなど、日本のラーメン屋では見られないような光景が広がっています。
海外進出をするにあたって、河原氏は「海外の人々に、日本のラーメンは食べなきゃいけないものと感じさせる空気を作りたかった」と言っています。
結果として、現地の人の趣味嗜好に合わせたお店づくりをすることで、一風堂はニューヨーカーの心に刺さるラーメン屋をオープンすることができました。
実際に、ニューヨーク店舗はオープン当初から行列が絶えず、「食べるべきラーメン」として話題になりました。
また、客層もビジネスマンが接待で使っていたり、良い服を着て来店されている方が多いそうです。
ありきたりなラーメン屋で終わらず、「IPPUDO」という確固たるブランドを確立することに成功したのです。
日本の文化をそのまま輸出するのではなく、その国の文化に合わせた店舗を作ることで、一風堂は昨今のラーメンブームの火付け役になることができました。
2つ目は、現地国に対する理解です。
味覚においては、国ごとの好みや特性もあるため、地域の気候やトレンドに合わせて油分や塩分を細かく調整する必要があります。
また、味だけではなく麺の長さも工夫しなければなりません。
日本人のように麺をうまくすすれない人のために、麺の長さを短くしたり、麺を乗せてスープと一緒に食べられるようにレンゲの大きさを変えています。
世界中の人が一風堂のラーメンを楽しめるように、さまざまな試行錯誤を重ねて作られています。
3つ目は、日本文化の普及です。
一風堂は、海外においても一貫して日本の「おもてなし」文化を取り入れた接客を行っています。
現地のスタッフとおもてなし文化を共有、浸透させ、高いサービスレベルを実現しています。
たとえば、海外の店舗でも日本語で「いらっしゃいませ」と大きな声でお客さまを出迎えているところもあります。
日本のおもてなし文化が評価されている昨今において、一風堂の接客は海外の人を魅了しています。
海外での取り組み
既に多大なる海外人気を誇る一風堂ですが、世界中に魅力を伝え続けるためには、新たな取り組みも必要不可欠です。
ヴィーガンラーメン
健康志向が強まる近年、一風堂では創業以来代名詞であった「豚骨」を一切使わないヴィーガンラーメンに着手しました。
たとえば、ニューヨーク店では、動物性食材を一切使用せず、植物由来のスープやトッピングで構成されているラーメンが提供されています。
また、シンガポールの一風堂店舗でも、ヴィーガン対応のラーメンが売られています。
シンガポールは多民族国家であり、宗教や文化的背景から食の多様性が求めらます。
一風堂は、植物性のスープや麺を使用したラーメンを提供することで、幅広い顧客層のニーズに応えています。
BAR IPPUDO
BAR IPPUDOは、一風堂シンガポール店が展開している日本酒を中心としたバー業態です。
日本の食文化を世界に広める取り組みの一環として注目されています。
一風堂と日本全国の蔵元とのコラボレーションによる立ち飲みのバーとなっています。
日本では昔から親しまれているこのスタイルは、現地でも好評のようです。
現地の人々も飲みやすいような銘柄が多数用意されており、日本酒への入口的役割を果たしています。
おわりに
一風堂の成功は、海外市場への適応力と日本ブランドの強みを活用した戦略の成果といえます。
今後も、一風堂は単なる「ラーメン店」に留まらず、グローバルな飲食業界におけるリーダーとして注目され続けるでしょう。
外国人にかかわるデータなどを詳しく知りたい、という方は、ぜひ「Guidable Marketing(ガイダブル・マーケティング)」をお試しください。日本でもっとも多くの外国人人材が登録しているともいわれる「Guidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)」から独自のデータを算出できます。
興味をお持ちの方は、ぜひいちどお問合せください!