今1番日本旅行に来ている国はどこ? 買い物に1番費用をかけている国は? ー国別・項目別で見る観光客の動向ー
コロナ禍からの経済回復や、長く続く円安の影響により、日本を訪れる外国人観光客数は増加しています。JNTO(日本政府観光局)の調査では、2024年3月には3,081,781人、4月には3,042,900人が訪日し、2ヶ月連続で300万人越えを記録しました。今では日本人だけではなく、このような外国人観光客相手のマーケティングを強化していくことが、ビジネスの持続・拡大につながっていくと言えるでしょう。
しかし、具体的にどの国からの観光客がどの都道府県に多いのか、またどこに費用を使っているのかを最低限把握していなければ、インバウンド需要を完全に理解することはできません。本記事では、国別観光客数と観光中の消費の詳しい内訳を解説していきます。
国別訪日外国人観光客数ランキング
ここでは国別の観光客数をランキング形式で紹介します。
1位 韓国
1位は韓国です。昨年の2022年から訪日観光客数トップとなっています。2024年1月には同国で過去最多の857,039人を記録しました。
増加の主な理由としては、日韓関係の改善があげられます。2019年夏ごろからは、日本が半導体の輸出管理をしたことによって日本製品の不買運動が長期化するなど、反日感情が強まって観光客が減っていました。しかし、親日派のユン大統領に政権交代してから日韓関係が急速に回復し、コロナ禍からの回復・円安も手伝い、増加に転じました。
加えて、韓国のZ世代間でJ-wave 2.0という日本ブームが巻き起こっていることも大きいです。特に昔のJ-popが人気で、NewJeansのハニが日本ドームツアーで松田聖子の『青い珊瑚礁』を歌ったことにより、韓国の音楽チャートで1位になりました。
また、日本行きの便に格安のLCC便が多いこと、飛行機で片道2時間半ほどしかかからないというコスパ・地理的な面での気軽さも旅行の増加につながっています。日本に行くことを旅行という非日常的なものではなく、日常的なものとしてとらえている人が多いことが訪日韓国人の特徴です。
2位 中国
2位は中国です。「爆買い」などの現象により、観光客と言えば中国人と考えている人も多いと思います。たしかに2021年までは国別訪日観光客数は不動の1位でした。しかし、最近は減少傾向にあります。
原因としては、コロナ禍の警戒体制がまだ完全に解かれていないということがあげられます。航空便の運航の大幅な減少、特定の国への渡航制限やビザの発給の遅れなどが中国人旅行客全体の障害となっています。また、日本の原発処理水海洋放出の影響により、日本旅行が自粛ムードになったことや、中国国内の不動産バブル崩壊による不況などの政治的・経済的理由も影響しています。
ただ、航空便については現在中国民用航空局(CAAC)によって大幅な増便の用意がすすめられており、これ以上の減少が防げる可能性もあります。
3位 台湾
3位は台湾です。台湾は親日国として広く知られており、国内で人気の旅行先ランキングではつねに日本が1位になっています。韓国と同じように、コスパ・地理的な面で気軽にいけるため、国内旅行のような感じで楽しんでいる人が多いようです。
日本よりもゆったりしているイメージが強い台湾ですが、なかなか仕事の休みがとれないとのこと。そのため、飛行機で2日ほどかかってしまうヨーロッパよりも、すぐに行き来できる日本が旅行先としては便利なのでしょう。
富裕層などは、日本旅行のリピート率が特に高く、ほとんど毎年日本を訪れる人もいます。コロナ禍からの回復によってふたたび航空便が増えてきているため、このまま円安が進んだ場合、観光客数で中国をぬかすかもしれません。
4位以降は、香港、タイなどのアジア圏の国が続きます。そのあとにアメリカ、イギリスなどの欧米諸国がランクインしてきます。
国別訪日外国人観光客の項目別消費内訳ランキング
ここからは国別の観光客1人あたりの消費内訳(2024年1-3月、観光庁調べ、単位は円)にもとづいて、消費度のランキング・国ごとの傾向を解説します。
宿泊費
高 | 低 | |
1位 | イギリス | 韓国 |
2位 | オーストラリア | タイ |
3位 | アメリカ | フィリピン |
飲食費
高 | 低 | |
---|---|---|
1位 | スペイン | 韓国 |
2位 | オーストラリア | フィリピン |
3位 | イタリア | 台湾 |
娯楽等サービス費
高 | 低 | |
---|---|---|
1位 | オーストラリア | インド |
2位 | イギリス | タイ |
3位 | アメリカ | 香港 |
購買費
高 | 低 | |
---|---|---|
1位 | 中国 | 韓国 |
2位 | 香港 | カナダ |
3位 | シンガポール | ドイツ |
項目別に見てみるとわかりやすいのですが、特定の国が何回か登場していますね。宿泊費〜娯楽等サービス費の低さランキングにはアジア、高さランキングにはアジア以外の国がよく出てきています。反対に、購買費の高さランキングはアジアの国がしめています。これには、地理的な影響があらわれていると言えます。
比較的費用と時間をかけずに来られるアジア圏の人たちは日本に来る回数が増えるぶん、1回の滞在期間がみじかくなり、使う費用が少なくなるのです。そのかわり日本製品を買う量が増えていることがうかがえます。例外として韓国は特に日本に近いため、買い物なども1回の旅行でそのつど必要な量のみを買います。だからこそ購買費の低さランキングで1位になっているのでしょう。
反対に、ヨーロッパなどからの観光客は気軽に来られないぶん、1回の滞在をながくして費用を多くしています。そのため宿のランクにかかわらず、宿泊費は高い傾向にあります。また、「せっかく日本に来たから日本でしかできないことをしたい」という考えで、温泉や登山などのレジャー・娯楽に特に費用をかけるようです。
ランキングから少しはなれますが、リピート率も旅行の出費に関係してきます。韓国や台湾などの日本旅行に費用をかけない国はリピート率がとても高いです。ヨーロッパなどの国は、やはり地理的に遠いこともあるので、リピート率はそれに比べると落ちます。なのでさきほど説明したとおり、アジア圏の国と比べると1回の日本旅行で使う費用は格段に高くなります。
しかし昨今の円安による訪日観光客増加を考えると、これから日本旅行をリピートしたいという人も多くなる可能性が高いです。そのため、アジア圏以外の国でもリピート率が高くなる国が将来でてくるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか? 昨今の政治・経済状況や地理的な面から、様々な国からの観光客の消費動向がうかがえることがわかりましたね。最初に説明したように、日本ビジネスの持続・拡大には、観光客などの日本を訪れる外国人の需要にスポットを当てたマーケティングを行う必要があります。
こういったマーケティングを確実に成功させるためには、この記事で使用した国別観光客数や消費額のランキングだけでなく、実際に日本にいる外国人のデータを活用することが不可欠です。例えば、「アジア人に人気の食品を知りたい」というようなデータが必要であれば、「Guidable Research(ガイダブル・リサーチ)」をお試しください。日本でもっとも多くの外国人人材が登録しているともいわれる「Guidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)」から独自のデータを算出できます。興味をお持ちの方は、ぜひいちどお問合せください!