インドネシアは2.8億人というアジアでも最大の人口をもつ国で、そのうちのおよそ60%が30歳未満という若年層がとても多い国です。

若者のエネルギーが経済や文化に大きな影響をあたえるなか、近年日本のポップカルチャーがインドネシアの若者文化に取りいれられていることが注目されています。

本記事では、インドネシアの若者文化における日本のポップカルチャーと、それがもたらす経済的なつながりについてはなしていきます。

 

インドネシアの若者文化の現状と特徴

インドネシアにおける30歳未満の人口割合(2024)

 

インドネシアの総人口におけるSNS普及率(2024)

 

インドネシアの若者は、SNSやデジタルメディアの急速な普及により、世界のトレンドにくわしく、多様な文化を取りいれながら自分たちの文化を発展させています。

ファッション、音楽、アート、ゲームといった分野で、インドネシアの若者は独自のスタイルをつくりつつあります。とくに都市部では、これらの文化が若者の生活に深く根づいており、日常生活に大きな影響をあたえています。

 

日本文化のインドネシアにおける影響

英訳された日本の漫画が平積みにされている

日本のポップカルチャーは、アニメ、マンガ、音楽、ファッションなど、さまざまな形でインドネシアの若者に影響を与えています。アニメやマンガはとくに人気が高く、ナルト、ドラゴンボール、ワンピースなどの作品は、インドネシアの若者にとってはかかせない存在です。

また日本の音楽に関しては、J-POPやJ-ROCKが現地の音楽ファンに支持されており、フェスティバルやライブイベントも開催されています。宇多田ヒカルの「First Love」や「Automatic」、AKB48がおもな人気アーティストです。AKB48の姉妹グループ「JKT48」は日本でも聞いたことがあるかと思います。

さらに、日本のストリートファッションもインドネシアで人気を集めています。原宿系ファッションやロリータファッションといった日本独特のスタイルがインドネシアの若者に受けいれられており、これらのファッションを取り入れたインドネシアのデザイナーやブランドもふえています。

たとえば、伝統的なインドネシアのパターンや素材を日本のデザイン美学であるミニマリズムと組みあわせた「Major Minor」、オーバーサイズのシルエットやレイヤードスタイルなど、日本のストリートファッションの特徴を取りいれた「I Know You Know」があげられます。

アニメに関連したコスプレ文化も広がりをみせており、各地で開催されるアニメコンベンションやコスプレイベントには、多くの若者があつまります。

 

経済的つながりと観光産業などの市場の発展

ストリーミングサービスで動画を探す人

日本のポップカルチャーがインドネシアで広がるにつれ、これが経済的なつながりを生みだしています。アニメやマンガのコンテンツ消費はオンラインプラットフォームで拡大しており、ストリーミングサービスや電子書籍販売が主流になっています。

とくに、NetflixやYouTubeなどのサービスをつうじて日本のアニメが手軽に視聴できるようになり、若者のあいだでの消費がふえています。これにより、日本のコンテンツ産業がインドネシア市場で利益をふやしている一方で、インドネシアの消費者にとっても選択肢が広がっています。

また、日本の企業はインドネシア市場においてマーケティング戦略を強化しており、現地のニーズにこたえた商品やサービスを展開しています。

たとえば、日本のアニメキャラクターとコラボした商品がインドネシアで販売されるケースや、アニメをテーマにしたカフェが人気をあつめる事例があげられます。東京の秋葉原で人気のあるメイドカフェの海外支店であるMaidreamin Café(メイドリーミンカフェ)や、ジブリを内装や料理のメインテーマにしたTsurukame Café(ツルカメカフェ)などです。

これにより、日本のポップカルチャーはインドネシアの経済にも貢献し、日本企業にとってもあたらしいビジネスチャンスとなっています。

 

観光産業と経済効果

ジャカルタで開催されたアニメフェスティヴァルアジア(AFA)

日本のポップカルチャーがインドネシアでの人気を集めることで、日本への観光の需要も高まっています。とくに、アニメなどのいわゆる「オタク文化」に関連する観光がインドネシアの若者の間で人気です。

「聖地巡礼」や、原宿、秋葉原といった場所をおとずれるツアーは、インドネシアからの観光客にとってはぜひ参加したいアクティビティとなっています。これにより、日本国内でもインドネシアからの観光収入がふえ、観光産業の成長にも影響をあたえています。

また、日本のポップカルチャーイベントがインドネシア国内でも開催されることがふえており、これが地域経済にも影響をあたえています。

たとえば、ジャカルタで開催される「アニメフェスティバルアジア(AFA)」などのイベントには、多くの観光客や地元のファンがあつまり、ホテル、飲食、交通といった産業に経済効果をもたらしています。

 

文化交流とソフトパワーの影響

日本とインドネシアの国交をあらわすクロスされた国旗

日本のポップカルチャーは、インドネシアとの文化交流を深めるための重要な文化のひとつとなっています。インドネシアと日本のあいだでは、さまざまな文化交流プログラムが行われており、両国の若者がおたがいの文化を学び、理解を深める機会がふえています。

とくにアニメやマンガをつうじた交流は、インドネシアの若者にとって日本文化への入り口となっており、これが将来的な経済協力の基盤をつくることにもつながっています。

さらに、日本のポップカルチャーは、ソフトパワーとしての役割を果たしており、日本の国際的なイメージや影響力を高めています。インドネシアの若者が日本の文化に親しむことで日本に対する好感度が高まり、これがビジネスや観光などの分野での関係強化につながっていきます。

 

インドネシア国内の産業への影響

工場内で裁縫の作業をおこなう女性従業員たち

日本のポップカルチャーに影響されたインドネシアのクリエイターやアーティストがふえており、現地産業の発展につながっています。

たとえば、さきほど紹介した日本のスタイルを取りいれたファッションブランドや、アニメやマンガのスタイルを参考にした現地のコミックやアニメ作品が登場し、これがあたらしい市場を生みだしています。

また、インドネシアの若者が日本のファッションや音楽を参考にしながら独自のスタイルをつくりだすことで、あたらしいトレンドが生まれつつあります。

こうした現象は、インドネシアの経済においても重要な意味をもっています。独自のコンテンツ産業が成長することで、国内の雇用があらたに生みだされ、若者が新しいビジネスチャンスを手にする機会がふえています。

 

まとめ

日本のポップカルチャーがインドネシアの若者に与える影響は、コンテンツ消費や観光需要の拡大、さらには現地産業の発展にまでおよんでいます。今後も両国の文化交流が深まり、経済的なパートナーシップが強化されることで、さらに大きなシナジーが生まれることが期待されます。

ほかに外国人にかかわるデータなどを詳しく知りたい、という方は、ぜひ「Guidable Research(ガイダブル・リサーチ)」をお試しください。日本でもっとも多くの外国人人材が登録しているともいわれる「Guidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)」から独自のデータを算出できます。

興味をお持ちの方は、ぜひいちどお問合せください!