海外調査のキホン~海外で現地インタビュー調査を行う際の注意点は!?
目次
海外のインタビュー調査で抑えておきたいポイント
新たに海外向けの事業や、在留外国人やインバウンド向け市場に対して新商品や新規事業立ち上げを検討しているときに実施したいのが、海外でのインタビュー調査。ニーズが本当にあるのかを調べたり、自分たちで考えているニーズの確度が正しいかを調べることが大切です。
しかしながら、海外でのインタビュー調査をまったくしたことがないと、予期せぬトラブルに巻き込まれて調査にかかる時間と費用がムダになるかもしれません。今回はこうした海外へのインタビューを考えるときに、大切なポイントを厳選して紹介します。
ポイント1:調査方法を理解する
海外リサーチには「アンケートリサーチ(対象者にアンケートを実施して情報を収集)」や「デスクトップリサーチ(市場の概況や競合動向などをオープンデータをもとに調査、レポーティングする)」や、「フィールドリサーチ」などのさまざまな調査方法があります。そのため複数の調査方法があることを認識して、正しい方法を選ぶことが大切です。
今回はとくにアンケート形式のリサーチに関して、詳しく見ていきます。
一人か、複数人か?
たとえば現地で対象者ひとりずつにインタビューすることを「デプス・インタビュー(depth interview)」と呼びます。この形式のインタビューでは、じっくりと時間をかけて聞きとりをすることができます。
ひとりの人物に重点を置いて、商品・サービスのユーザーニーズを聞き取りたいときにはこの手法は有効です。複数人の対話形式など、多数の意見をまとめて聞きとる場合は「グループ・インタビュー」がいいでしょう。
現地か、オンラインか?
現地でインタビュー調査をすれば、総じて相手の様子や声をじかに読みとって、周辺状況とあわせてリアルな情報を聞きとれます。
しかし海外まで直接に足を運ぶため、一定の渡航費用がかかる点がデメリットです。
現在では直接に出向かなくても、ZOOMなどのツールを使えば現地の人にオンラインでインタビューできます。渡航の手間とコストがかからない点はメリットですが、いくつからデメリットもあります。
非言語的な情報の欠如
対面のインタビューでは、言葉だけでなく、表情、ジェスチャー、姿勢などの非言語的なコミュニケーションが非常に重要です。これらの要素はインタビュー対象者がどのように感じているか、話している内容の感情的なニュアンスを把握する手がかりとなります。
オンラインでは、画面越しでは非言語的な情報を完全に読み取ることが難しく、インタビューの深みが失われることがあります。
ポイント2:インタビュー前後は時間の余裕をもつ
現地に直接出向くにせよオンラインにせよ、一日で可能なかぎり多くのインタビューを行いたいはず。しかし時間的な余裕を取らず、スケジュールが詰まった状態でインタビューを詰め込んでしまうと、ひとつのスケジュールが遅れただけですべてが狂ってしまいます。
途中で調整してもとのスケジュールになればいいですが、難しい場合が多いです。当然ながら、狂ったスケジュールを立て直すのは精神的な負担もあり、時間的な負担もあります。
また国にもよりますが、海外では日本よりも時間をルーズにとらえる方が多いです。インタビューのあいだには、最低でも15分〜30分の余裕を入れましょう。「時間が余るともったいない」と心配になる方もいるかもしれませんが、つぎのインタビューまでに落ち着いて内容を整理できるため、メリットの方が多いと考えられます。
ポイント3:現地スタッフの人選
海外で行うインタビュー調査で、欠かせないのが現地スタッフの存在です。どのような人物を選択するかで、インタビューの質が左右されます。
言語能力の高さも大切ですが、人を安心させるような人物を雇うことができると、より質の高い一次情報を得ることができるはず。
現地の方は、国や地方にもよりますが、すぐに打ち解けてさまざまなことを話してくれる方ばかりではありません。現地スタッフを選ぶ際には、書類や評判だけで選んでしまうのではなく、直接に会って相手が信用できる人物かを確かめましょう。
ポイント4:インタビューの対象者を多めに集める
インタビュー調査では、対象者を多く集めるのもポイントです。確保したいインタビューのサンプル数は決まっているでしょうが、日本での調査以上に当日のキャンセル(ドタキャン)は多いです。
目標とする数値に対して、ギリギリの数しか予定していないと、実際には見込んでいたよりかなり少ない数のインタビューしかできないこともありえます。
予定している数より多くインタビューの対象者を集めておき、実際に集まる数が予定サンプル数よりも少なくならないように調整しましょう。海外でのインタビューでは「想定外」「サンプル数の不足」が考えられるので、事前に多めのインタビュー対象者を確保しましょう。
ポイント5:風習上・宗教上の理解
現地の方の「暮らし」や「生活」に関する話をすると、インタビュー対象者の風習や宗教関連の話題になることも多いです。
以下のような点について、注意しましょう。
① 風習・宗教に対しての基本的な理解
インタビューを実施するまえに、宗教的な基礎知識を持つことは大切です。土地に特有の習慣、宗教的な規範を調べましょう。普段自然としているアクション、ボディランゲージでも、相手にとっては不快である場合があります。
宗教的なタブー
特定の宗教では、飲食、衣服、性別の役割などに関して厳しい規則やタブーがある場合があります。イスラム京都なら豚肉やアルコールに関する質問を避ける必要があります。ヒンドゥー教徒なら、牛に関する話題は慎重になりましょう。
風習と習慣
現地の挨拶、相手への礼儀、適切なボディランゲージについて、知識を持っておきましょう。
② プライベートな質問に対する慎重さ
宗教や風習に関する質問は、プライベートな領域に入る可能性があるため、質問内容に十分気をつける必要があります。
デリケートなトピックを避ける
宗教的信仰や個人の信条に関する質問は、直接的すぎると相手に不快感を与えることがあります。質問が必要な場合は、「相手が答えたくない場合もある」という点に配慮し、ムリに回答をもとめないようにしましょう。
オープンな質問
具体的な信仰や慣習に関する質問は、相手が自由に答えられるようにオープンな質問形式にするといいです。たとえば「あなたにとって大切な習慣や文化的な行動はなんですか?」といった質問にすることで、相手が自分の範囲で答える余地を持たせられます。
③ インタビューの場所、時間
宗教や風習によっては、特定の場所や時間帯が不適切とされることがあります。インタビューの時間や場所を設定する際には、以下の点に注意しましょう。
礼拝時間や宗教的儀式を避ける
たとえば、イスラム教徒は1日に5回の礼拝を行うため、インタビューが礼拝時間にかからないようにスケジュールを調整しましょう。また特定の宗教では安息日があり、その日には仕事や外出を控えることがもとめられる場合もあります(例えば、ユダヤ教の安息日やイスラム教の金曜日)。
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