日本のアニメは、国内外を問わず多くの人々を魅了し続けています。特に近年、アニメを通じて日本に興味を持ち、観光におとずれる外国人が増加しています。

アニメは単なるエンターテイメントの枠を超え、世界中の人々に日本の文化や風景、独自の世界観を伝える役割を果たしており、その影響は観光業にもおよんでいます。では、なぜ日本のアニメはここまで外国人観光客に愛され、観光ブームを生みだしているのでしょうか?

この記事では、その理由を探り、アニメがどのように日本の観光業に影響をあたえているのかを考察していきます。

 

地域・国別のアニメの好み

各国におけるアニメの好みは、文化的な背景や歴史、地域のトレンドなどによって大きく違ってきます。

アメリカ

まず、アメリカでは、アクションや冒険をテーマにした作品が人気です。特に『ナルト』や『ドラゴンボールZ』、『進撃の巨人』など、バトルシーンが多く、ヒーローが困難に立ち向かうストーリーが好まれています。

アメリカのスーパーヒーロー文化が強く影響しており、戦いや力強さをテーマにしたアニメが視聴者の興味を引く傾向があるとわかります。

また、『デスノート』や『東京喰種』のように、ダークなテーマや心理描写が細かいアニメも、成熟した視聴者層に支持されています。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、国によって好みが違うものの、フランスではアニメ文化が特に根強く、幅広い作品が支持されています。『ワンピース』や『ナルト』といったバトルアニメはもちろん、スタジオジブリの作品や『君の名は。』のような美しいビジュアルと深い物語を持つ作品も高く評価されています。

フランスでは芸術的な要素が強く支持されるため、感情表現が豊かで、視覚的に優れた作品が人気です。ドイツでは、SFやロボットをテーマにした作品が好まれており、『新世紀エヴァンゲリオン』やガンダムシリーズのようなメカ系アニメが注目されています。

ラテンアメリカ

ラテンアメリカにおいては、アクションやバトル系少年アニメの人気がとても高いです。『ドラゴンボールZ』や『ナルト』、『聖闘士星矢』といった作品は、ラテンアメリカの多くの国で長年にわたって放送されており、地域文化に深く根付いています。

これらの作品は、勇気や友情、自己犠牲といったテーマが描かれており、視聴者に感動をあたえるストーリーが好まれています。また、『鬼滅の刃』や『君の名は。』のような感情豊かなストーリーのアニメもラテンアメリカの観客に受け入れられています。

中国

中国では、歴史や壮大なストーリーを持つ作品が特に人気です。『進撃の巨人』や『ワンピース』のように、スケールが大きく、長期間にわたって放送されているアニメが支持されており、『キングダム』などの歴史的な要素を取り入れた作品も共感を呼んでいます。

このように、中国の視聴者は、自国の歴史や文化に関連性がある作品に強く惹かれる傾向があります。

また、ロマンスや日常系の作品も評価されており、『君の名は。』や『天気の子』といった美しい映像表現と感情豊かな物語が多くの視聴者に愛されています。

東南アジア

東南アジアでは、ロマンチックなストーリーやファンタジーアニメが人気を集めています。『ソードアート・オンライン』や『君の名は。』など、ファンタジーや冒険を交えた作品が若年層に支持されており、東南アジア特有の文化的要素が作品の受け入れ方に影響をあたえています。

同時に、定番の少年バトルアニメ、例えば『ナルト』や『ワンピース』も多くの視聴者に楽しまれています。

アフリカ

アフリカでは、アクションや冒険をテーマにしたアニメが支持されています。特に『ドラゴンボールZ』や『ナルト』、『ワンピース』のような作品は、ナイジェリアや南アフリカ、ケニアなどで人気を集めており、激しいバトルや冒険の要素が視聴者に受け入れられています。

また、『僕のヒーローアカデミア』や『鬼滅の刃』といった、ファンタジーや超能力を扱った作品も多くの視聴者に楽しまれています。

 

アニメがもたらす「聖地巡礼」の魅力

アニメの影響力のひとつとしてあげられるのが、いわゆる「聖地巡礼」です。聖地巡礼とは、アニメや漫画、映画などの舞台となった場所におとずれる行為のことをいいます。

日本国内には、アニメの舞台となった場所が数多く存在し、それらの場所に行くことによって、作品世界により深く入りこむことができます。特に外国人観光客にとって、日本のアニメの聖地は憧れの場所であり、旅行の大きな目的のひとつです。

たとえば、京都の伏見稲荷大社は、『いなり、こんこん、恋いろは。』というアニメ作品の舞台として知られています。アニメファンにとってはこの場所をおとずれることで、現実世界とフィクションの境界を感じることができるのです。

こうした「聖地巡礼」スポットは、都市部のみならず地方にも点在しており、観光地としての価値が高まっています。

また、長野県の上田市が舞台となったアニメ『サマーウォーズ』や、岐阜県高山市が描かれた『君の名は。』など、地方都市がアニメの舞台となることで、前まで観光客があまり来なかった地域にも外国人観光客が足を運ぶようになっています。

こうした地方都市における聖地巡礼は、地域経済の活性化にも大きな影響をあたえており、アニメが地方創生に一役買っていることも少なくありません。

 

アニメを通じた文化理解の促進

日本のアニメが外国人に愛される理由のひとつに、異文化理解の促進があげられます。アニメは物語を通じて、日本独自の価値観や文化、伝統を自然に伝えることができます。外国人観光客は、アニメを通じて知った日本の風習や生活様式を実際に体験したいという思いを抱き、日本に来ます。

たとえば、アニメ『千と千尋の神隠し』は、日本の神道的な価値観や伝統的な建築、自然風景を描いています。この作品をきっかけに、日本の古き良き風景や温泉文化に興味をもった外国人観光客は多く、実際に日本各地の温泉地をおとずれることが多いです。

また、京都や奈良といった歴史的な場所に足を運び、日本の伝統文化を直接体感することも、アニメファンにとっては特別な体験です。

さらに、アニメのキャラクターやストーリーを支える友情、努力、愛などの普遍的なテーマは、国や文化を超えて共感を呼び起こす要素です。こうした普遍的なメッセージが、アニメをきっかけに日本文化への理解と興味を深める要因となっているのです。

 

イベントやフェスティバルの国際的な人気

アニメ関連のイベントやフェスティバルも、日本観光を促進する大きな要素です。特に、毎年東京ビッグサイトで開かれる「コミックマーケット(コミケ)」は、世界中から数十万人のファンがおとずれる一大イベントとして知られています。

このイベントでは、アニメファンが自ら制作した同人誌やグッズを販売し、コスプレイヤーが自慢の衣装を披露するなど、アニメ文化を肌で感じることができます。外国人観光客も、このような大規模イベントに参加するためにわざわざ日本をおとずれています。

また、「アニメジャパン」や「ジャンプフェスタ」など、他のアニメ関連イベントも国際的な注目を集めており、最新のアニメ情報やグッズが手に入る場として、ファンにとっては欠かせない存在です。こうしたイベントは、日本独自のアニメ文化を世界に発信すると同時に、外国人観光客が日本をおとずれる重要な理由となっています。

 

アニメの普及による観光産業への影響

アニメが観光業にあたえる影響は計り知れません。日本政府観光局(JNTO)が発表する統計によると、アニメや漫画をきっかけに日本に来る外国人観光客の数は年々増加傾向にあります。これにともない、アニメ関連の商品やサービスが充実し、観光業全体に大きな経済効果をもたらしています。

たとえば、アニメショップやカフェ、コラボイベントなど、アニメファン向けの観光スポットが増加しており、東京・秋葉原や池袋、新宿といったエリアは外国人観光客で賑わいを見せています。これらのエリアでは、アニメグッズの購入や、アニメの世界観を再現したテーマカフェでの食事を楽しむことができ、観光の一環として大きな魅力をもっています。

地方においても、アニメとのコラボレーションを通じた観光業が進んでおり、アニメに登場する景色や建物を再現した観光地が人気を集めています。地方自治体も積極的にアニメファンをターゲットにしたプロモーションを展開しており、観光地としてのブランディングに成功している地域も増えてきました。

 

おわりに

日本のアニメは、世界中の人々に夢と感動をあたえ続け、外国人観光客を惹きつける大きな要因となっています。アニメを通じた「聖地巡礼」やイベント参加は、日本旅行の一つの目的となり、観光業に多大な影響をあたえています。

また、アニメは日本文化の理解を深め、異文化交流を促進する力をもっており、観光業を通じた国際的なつながりの強化にも貢献しています。

今後もアニメをきっかけに日本をおとずれる外国人観光客は増加し続けるでしょう。日本の観光業界は、こうした需要に応えるべく、さらなる工夫と発展を遂げることが期待されています。

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