【成功事例】大学院生による研究のアンケート収集 卒業論文のために多言語調査を行いました!

今回の案件:大学院生の卒業論文のアンケートに外国人労働者を募集。
必要な人数:80名
納期:4週間
横浜国立大学に所属する大学院修士2年生のソコライ・クリスティナさんが、卒業論文のためのアンケートで外国人労働者を募集しました。テーマは「日本におけるブルーカラー外国人労働者の職場ストレスと行動的反応に関する研究」でした。
研究概要
日本は少子化と高齢化に直面しており、特に製造業、建設業、農業などのブルーカラー分野で深刻な労働力不足が生じています。この問題に対処するため、日本は外国人労働者の受け入れを増加させています。
しかし、ホワイトカラーの外国人労働者については多くの研究がある一方で、ブルーカラー労働者に関する研究は限られています。特に「ストレス」「ウェルビーイング」「ジョブクラフティング」に関する知見は少な いです。
外国人ブルーカラー労働者は、長時間労働、肉体的負担、日本の階層的な職場文化への適応などの課題に直面しており、これらがストレスを引き起こし、仕事の満足度やパフォーマンスに悪影響を与えていると言われています。
2020年の日本国際研修協力機構(JITCO)の調査によると、外国人研修生および労働者の約 40%が高いストレスを感じており、おもな要因として長時間労働、身体的負担があげられています。
また日本労働政策研究・研修機構(2018)の報告では、外 国人ブルーカラー労働者は仕事の不満や精神的な健康問題(不安やうつ)に苦しむ傾向が強いとされており、これらのストレスがウェルビーイングや仕事のパフォーマ ンスに深刻な影響を与えています。
このようなストレスに対処する方法として「ジョブクラフティング」が有効であることが示されています。
ジョブクラフティングとは、従業員がみずからの仕事環境を積極的に調整して、業務や人間関係を自分の強みや希望に合わせて変更する行動です。
これにより労働者は仕事の満足度やウェルビーイングを向上させ、ストレスの負の影響を軽減できます。しかし、日本における外国人ブルーカラー労働者を対象にしたジョブクラフティングに関する研究は限られており、この関係を探ることが本研究の目的となります。
外国人ブルーカラー労働者におけるジョブクラフティングとストレスの関係を探り、文化的知能(CQ)がこの関係にどのように影響を与えるかを調査しました。
ジョブクラフティングには、「アプローチ型(積極的に改善を図る)」と「回避型 (負の側面を減らす)」の2種類の行動があります。ストレス要因には挑戦的ストレス (成長を促進する)と障害的ストレス(障害となるストレス)があり、挑戦的スト レスはアプローチ型ジョブクラフティングを促進し、障害的ストレスは回避型ジョブクラフティングを促すとされます。またCQ が高い場合ストレスに適応しやす く、異文化環境での仕事において効果的に対処できるとされています。
データ収集
データ収集には2つの方法がありました。最初の方法は企業との直接的な連絡でした。2つ目のデータ源は、Guidable(ガイダブル)のデータベースです。Guidableの協力を得て、日本にいる22,296人のブルーカラー外国人労働者のリストに電子アンケートが送信されました。
アンケートはブルーカラー外国人労働者に2回配布され、測定間隔は2週間でした。
(2回のアンケートは同じ人々に配布されました。)
最初のアンケートでは223件の回答を得ましたが、有効回答率57.4%のうち実際に有効な回答は128件でした。
2回目のアンケートでは86人が回答し、そのうち81人が有効回答でした。
最終的なサンプルは、両方のデータ収集方法を組み合わせて、106件の有効な回答を含みます。
これらの回答者のうち、43.4%が女性で、56.6%が男性でした。年齢層は、27.4%が40〜50歳、22.6%が26〜30歳、20.8%が31〜39歳でした。国別では、46.2%がブラジル人、17.9%がベトナム人、16%がフィリピン人、12.3%がインドネシア人でした。業界別では、参加者の66.7%が製造業(食品、機械、車両部品など)で働いており、8.5%がホスピタリティ業界、7.6%が建設業界で働いていました。
また、35.8%の労働者は日本に10年以上住んでいました。
研究結果
研究結果では、障害的ストレス(例:役割の不明確さ、官僚的制約、リソース不足)がアプローチ型および回避型ジョブクラフティング行動に負の影響を与えることが確認されました。一方、挑戦的ストレス(例:高い責任、時間的プレッシャー)は、アプローチ型ジョブクラフティングには有意な影響を与えなかったものの、回避型ジョブクラフティングを減少させました。これにより、挑戦的ストレスが仕事環境の改善を促すものの、必ずしも積極的なジョブクラフティング行動を引き起こさないことが示唆されました。
また、CQ(文化的適応能力)が調整的な役割を果たすことが確認されました。CQが高い外国人ブルーカラー労働者は、ストレス要因に対して適応しやすく、障害的ストレスに対しては必ずしも積極的に反応しませんでした。一方、CQが低い外国人労働者は、挑戦的ストレスに対して積極的に反応し、アプローチ型ジョブクラフティングを行う傾向が見られました。
実践的意義
この研究の結果は、特に日本や他の文化的に複雑な環境で外国人労働者を雇用している組織に対して、いくつかの実践的な示唆を提供しています。主に、組織が外国人労働者がストレスに対処し、ジョブクラフティングを実践し、全体的な幸福感と生産性を向上させるためにどのように支援できるかに焦点を当てています。
主な発見として、障害的ストレス(例:過重労働、サポート不足)がアプローチ型および回避型ジョブクラフティング行動を減少させることが示されました。組織は、労働負担の不均衡解消やサポートシステムの改善、役割の明確化を進めるべきです。これにより、外国人労働者はより積極的にジョブクラフティングを実践でき、生産性向上が期待できます。
一方、挑戦的ストレス(例:高い目標、締め切り)は、特にCQが低い労働者に積極的なジョブクラフティングを促すことがわかりました。組織は挑戦的ストレスを成長機会として捉え、従業員がそれを改善するために積極的に行動するように支援すべきです。
また、外国人労働者の適応力を高めるために、文化的に敏感なマネージャーの育成や異文化コミュニケーションの強化が重要です。これらの取り組みにより、組織は外国人労働者の幸福感と生産性を向上させる支援的な環境を作り出すことができます。
おわりに
Guidable Marketing(ガイダブル・マーケティング)は、在留外国人コミュニティへのプロモーションや人員募集能力を活用して、多様な企業の需要に対応しています。もし外国人にかかわるデータなどを詳しく知りたい、モニター参加者を募集したいというときがあれば、ぜひお試しください。日本でもっとも多くの外国人人材が登録しているともいわれるGuidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)のデータで、ニーズに応える対応をすることができます。興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問合せください!