2024年、世界の旅行需要は急速に回復しました。国連世界観光機関(UNWTO)の報告によると、2024年の国際観光客数は前年比で11%増で、約14億人に到達しました。この数値は2019年比では0.1%減で、ほぼ完全にパンデミック前の水準に回復したことになります。

特にアジア太平洋地域での回復が著しく、日本や中国、タイなどの人気観光地が訪問客を大幅に増加させています。多くの国がビザ緩和やインフラ整備を進め、観光業を支援しています。

また、サステナブルツーリズムや個人旅行の需要が増加傾向にあります。オンライン予約やデジタル技術の普及により、旅行者の利便性が向上し、観光業界全体の活性化につながっています。パンデミック後の新たな観光トレンドが市場を牽引しており、2024年は旅行業界の新しい成長フェーズを象徴する一年になりました。

インバウンド観光客の増加数は?

 

日本のインバウンド観光は、2024年に劇的な回復と成長をとげました。日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、2024年の訪日外国人観光客数は約3,687万人。前年から47.1%増加し、過去最高だった2019年の約3,188万人を約500万人ほど上回りました。

この増加の要因として、円安による旅行コストの低下が挙げられます。特に、桜や紅葉のシーズン、夏の休暇期間中に多くの市場で旅行需要が高まりました。

訪日外国人の消費動向も顕著で、2024年の総消費額は8兆1,395億円と、前年から53.4%増加し、2019年比でも69.1%増となりました。ひとり当たりの旅行支出は約22万7千円で、特に欧米豪からの旅行者の支出が高い傾向にあります。

このような急速な回復と成長は、日本の観光業の強い需要と魅力を示しています。今後もインバウンド観光客数や消費額のさらなる増加が期待されます。

これまでのインバウンド対策としての取り組み

日本のインバウンド観光施策は、近年の状況変化を踏まえ、以下のような最新の取り組みを進めています。

取り組み ケース1:地方誘客と消費拡大の推進

地方観光を強化するため、政府は「観光振興地域計画」を策定し、地域ごとの強みを活かした観光地開発を進めています。たとえば、地域特有の食文化や伝統工芸、自然体験などを訪日外国人向けにアピールし、都市部では得られないユニークな体験を提供しています。

また「観光DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進し、地方観光地のオンラインプロモーションや予約システムの整備を支援しています。一方で、地方自治体や観光事業者と協力して、海外市場に向けた効果的なキャンペーンを展開しています。
韓国や台湾など近隣国だけでなく、欧米豪などの長距離市場もターゲットにし、地方のブランド力向上を図っています。さらに地方への直行便の増加や、地域限定の観光パス導入を進め、訪問の利便性向上も重要視されています。

取り組み ケース2:受け入れ環境の整備

訪日外国人が安心して旅行を楽しめる環境を作るため、インフラ整備が加速しています。空港や主要駅での案内標識や自動音声案内の多言語対応が強化され、観光客が言葉の壁を感じにくい環境が整っています。また、キャッシュレス決済の導入率向上にも注力しており、訪問客が現金を持たずに快適に買い物やサービスを利用できるようになっています。

さらに、宿泊施設においては、外国人向けのサービス研修やスタッフの語学力向上を目的としたプログラムが拡充されています。
特に、高級ホテルから民泊まで幅広い宿泊施設が、宗教的配慮(ハラール対応食や礼拝スペースの提供など)を強化しています。地域観光案内所でも、デジタルタッチパネルやチャットボットを活用した新しい案内方法が導入されており、観光客の利便性向上が図られています。

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取り組み ケース3:持続可能な観光の推進

持続可能な観光の実現を目指し、観光地のオーバーツーリズム問題を解決する取り組みが行われています。たとえば、京都では混雑のピーク時間を避ける観光モデルの普及を目指し、観光客にリアルタイムで混雑状況を知らせるアプリが導入されています。

また環境保護に重点を置き、観光地でのゴミ削減プログラムや再生可能エネルギーの利用促進も進められています。

さらに、地域住民と観光客が共存できる取り組みとして、地元住民を巻き込んだ文化体験ツアーが実施されています。これにより、観光地の文化や自然を保全しつつ、地域経済にも貢献するモデルが構築されています。企業や自治体による「エコツーリズム認証制度」も広がっており、訪日外国人が環境意識の高い旅行先を選べる仕組みも整いつつあります。

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日本のインバウンド需要、伸び代は?

最新のデータによると、日本のインバウンド観光は顕著な回復を遂げています。前述していますが2024年の訪日外国人旅行者数は約3,687万人に達し、過去最高だった2019年の3,188万人を大幅に上回りました。

しかし、世界全体の観光地ランキングでは、フランスが年間約1億人の外国人旅行者を迎えトップで、スペイン(8,520万人)、アメリカ(6,650万人)、イタリア(5,720万人)、トルコ(5,520万人)がこれにつづいています。

日本はこれらの国々と比較すると、訪問者数で10位以下に位置しています。この差を縮めるためには、以下の改善が求められます。

  1. 受け入れ体制の強化:観光施設や宿泊業界での人手不足が深刻化しており、サービスの質向上と労働環境の改善が必要です。
  2. 多言語対応の充実:公共交通機関や観光案内所での多言語対応を強化し、外国人旅行者が安心して移動・観光できる環境を整えることが重要です。
  3. 地方観光の促進:観光客が都市部に集中する傾向があり、地方への誘導を強化することで、地域経済の活性化と観光資源の分散を図る必要があります。

これらの取り組みにより、日本の観光地としての魅力をさらに高め、世界ランキングでの順位向上が期待されます。

さらに広がっていくインバウンド市場

今回は、日本のインバウンドの状況やトレンドについて、2024年の結果とともにお話ししました。

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