在留外国人へのインタビューガイド|市場調査で成功するために知っておきたいこと
在留外国人の増加にともない、日本市場における彼らの消費行動も注目されています。たとえば外国人向けの食品、住居、医療、教育、金融サービスなどの需要が急増しています。しかしこの新たな市場を理解して成功するには、外国人消費者のニーズや課題を正確に知ることが不可欠です。
そこで重要となるのが、在留外国人へのインタビューです。直接話を聞くことで統計データだけでは見えないリアルな意見を収集し、より効果的なマーケティングやサービス開発につなげることができます。
目次
在留外国人インタビューのポイント
在留外国人にインタビューを行う際、日本人が見落としがちなポイントを意識することが重要です。まず、「イエス・ノー」で答えられる質問ばかりにならないようにし、具体的な体験や感想を引き出す質問を心がけましょう。また、日本的な曖昧な表現(例:「大丈夫ですか?」)は誤解を生むことがあり、なるべく明確な言葉を使うことが大切です。
さらに、文化的な背景を理解し、例えば「仕事のやりがい」や「チームワーク」の価値観が異なることを前提に話を進めると、より深い回答を得やすくなります。また、外国人が「失礼にならないように」と遠慮して本音を言いにくい場合もあるため、リラックスした雰囲気を作ることも重要です。
増加している外国人の国籍は?
現在、日本に住む外国人のうち、とくに増加していて注目すべきなのはベトナム、中国、ネパール、インドネシア、ミャンマーなどの国です。
◎ ベトナム
日本に住むベトナム人へのデプスインタビューでは、文化的背景や価値観を理解し、リラックスした雰囲気をつくることが重要です。ベトナムでは目上の人を尊重する文化があり、直接的な批判を避ける傾向があるため、「率直な意見を歓迎する」と伝えると深い回答が得やすくなります。
また日本語が流暢でない場合もあるため、わかりやすい言葉を使い、必要に応じて母国語(または英語)での対応を検討しましょう。さらに、信頼関係を築くために、まず相手のバックグラウンドや経験を丁寧に聞くことが大切です。
◎ 中国
日本に住む中国人へのインタビューでは、個人差を考慮しながら、オープンな姿勢でのぞむことが重要です。
中国では直接的に意見を述べる文化がある一方で、公的な場では慎重になることもあります。そのため安心できる環境を整え、信頼関係を築くことが大切です。
また日本と中国の文化や習慣の違いについて質問する際は、比較ではなく「どのように感じるか」をたずねると、より率直な意見を引き出しやすくなります。さらに日本語の理解度に合わせて、シンプルな質問を心掛けましょう。
またビザの種類によっても外国人の滞在目的や生活環境が大きく異なるため、インタビュー時にはこの点を考慮することが重要です。
◎ ネパール
ネパール人はフレンドリーでオープンな人が多いですが、遠慮して本音を控えることもあります。そのため、まずは雑談を交えながら信頼関係を築くと、より深い話を引き出しやすくなります。
英語能力は高いことが多く、会話レベル以上の英語力を持っている方もいます。まだ在留期間が短い方でも、英語でインタビューをすることで求めている答えを引き出せる可能性が上がるでしょう。
◎ インドネシア
日本に住むインドネシア人は、技能実習生や特定技能、留学生として在留している人が多く、介護や製造業などではたらくケースが増えています。デプスインタビューを行う際は、イスラム教徒が多い点を考慮し、礼拝の時間(1日5回)を尊重することが重要です。
特に金曜日の昼の礼拝は大切なため、スケジュール調整に配慮しましょう。また食文化やハラル対応について尋ねる際は、宗教的な価値観を尊重しながら話を進めることが大切です。
◎ ミャンマー
日本に住むミャンマー人は、技能実習生や特定技能、留学生のほか、近年の政情不安により難民申請者や特定活動ビザでの在留者も増えています。インタビューでは政治的な話題に慎重に触れることが重要です。
多くの人が経済的・安全上の理由で日本に来ざるを得なかった背景があるため、日本での生活や働く理由を尋ねる際には配慮が必要です。また仏教文化が根強く、信仰やコミュニティのつながりが大切にされています。宗教的な価値観にも敬意を払いながら進めることが大切です。
インタビューを成功させるためのステップ
異文化圏に長く住んできた人へのインタビューでは、単なる事実の確認ではなく、その人の経験や感情を深く引き出すことが重要です。成功するインタビューには、以下のような要素が求められます。
① 事前リサーチと文化理解
異文化圏での生活に関する質問をする前に、その文化の基本的な価値観や社会的背景を理解しておくことが重要です。例えば、移住先の文化、経済状況、生活習慣をある程度把握しておくことで、より具体的な質問ができ、相手の信頼を得やすくなります。
具体例:
- 「あなたの国の職場文化は、日本とどんな違いを感じましたか?」
- 「現地の食生活に慣れるまでに苦労したことはありますか?」
② オープンエンドな質問を用意する
「はい・いいえ」で終わる質問ではなく、相手の体験や考えを深掘りできる質問を用意しましょう。オープンエンドな質問をすることで、相手の言葉でリアルな感情やエピソードを引き出せます。
良い質問の例:
- 「最初に文化の違いを強く感じたのはどんな場面でしたか?」
- 「現地で最も印象に残っているエピソードを教えてください」
- 「日本に戻ってきて、逆に違和感を感じることはありますか?」
③ インタビュアーの姿勢と共感
インタビューを成功させるには、インタビュアーの姿勢も重要です。相手が経験を話しやすいように、共感しながら話を聞くことを心がけましょう。「あなたの経験に興味があります」という姿勢を示すことで、相手の信頼を得られます。
共感の表現例:
- 「それは大変でしたね。どうやって乗り越えましたか?」
- 「その時、どんな気持ちでしたか?」
④ 文化的な違いを肯定的に捉える
異文化圏での経験を話す際、相手が「日本の方が良い」「現地の方が良い」と比較をする場合があります。その際、どちらが良い・悪いではなく、違いとして受け入れる姿勢を持つことが大切です。相手が文化的な違いについて率直に話せるような環境を作りましょう。
例:
- 「〇〇の国では仕事の進め方が日本と違うと思いますが、どのように適応しましたか?」
- 「日本に戻ってきて驚いたことはありますか?」
⑤ 言葉の選び方と話しやすい環境
インタビューを受ける人が、必ずしも日本語が母語ではない場合もあります。そのため、簡単な言葉を使い、相手の言葉のペースに合わせることが重要です。また、話しやすい雰囲気を作るために、リラックスした環境(静かで落ち着いた場所)で行うことも成功の鍵となります。
配慮すべき点:
- 専門用語や難しい言い回しは避ける
- 相手の発言を途中で遮らず、最後まで聞く
- 必要ならば通訳をつける
⑥ 具体的なエピソードを引き出す
抽象的な話だけではなく、具体的なエピソードを聞くことで、インタビューの内容がより魅力的になります。質問を工夫して、相手が実際に経験したストーリーを語れるようにすると、よりリアリティのあるインタビューになります。
具体例:
- 「初めて現地の人と一緒に食事をした時、驚いたことは?」
- 「最も衝撃を受けた文化の違いは?」
⑦ フィードバックと確認
インタビューの最後には、相手の発言を要約し、「この解釈で合っていますか?」と確認すると、誤解を防ぐことができます。また、公開する内容についても事前に了承を得ておくと、信頼関係がさらに深まります。
確認の例:
- 「お話いただいた内容をこう解釈しましたが、合っていますか?」
- 「もし追加したいことがあれば、ぜひ教えてください。」
おわりに
今回は在留外国人へのインタビューについて、国ごとのポイントや、インタビューを成功させるためのステップなどについて説明してきました。
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