海外の日本酒人気はいつまで続く? 焼酎と比べて輸出量はどれくらい多い? 国ごとの日本産酒類の人気度を解説!
近年、日本産酒の海外人気が急速に高まっています。特に、日本酒と日本産ウィスキーは、世界各国で売られるようになりました。
それでは、ほかの日本産酒の人気はどうでしょうか。焼酎や、「ほろよい」に代表されるリキュールなどを海外で見たことはありますか。あまりイメージができませんよね。
そこで本記事では、日本酒とウィスキーに加えて、ほかの日本産酒の海外輸出量と人気度を解説していきます。
世界的に人気となったジャパニーズ・ウィスキー
2023年度ウィスキーの輸出量は約12,728kl、金額にして約500億9,200万円になりました。前年度と比べると10%減少しています。
ジャパニーズウィスキーの需要は近年非常に高く、2008年からは右肩上がりで輸出量が増え、2022年には14,250klを超えました。このまま勢いは続くと思われましたが、2023年になって一旦落ち着いています。
おもな輸出国は、上からアメリカ、フランス、中国、韓国です。
アメリカは2018年から6年連続で1位の輸出先となっており、輸出量の22%を占めています。
2位のフランスは、アメリカに抜かれるまでは1位でした。全体の18%を占めています。
3位の中国、4位の韓国においては、最近の日本ブームにより、ウィスキー以外の日本産酒も輸出量が増えています。特に韓国では、「サントリー角瓶」が人気を博しました。
1リットルあたりの金額では、ベトナムと中国がそれぞれ1位、2位でした。反対に、アメリカ、フランス、韓国などの国は1リットルあたりの金額が低いです。
ここから、輸出量が多い国はリーズナブルなものを大量に輸出している傾向にあると考えられます。
外食・家庭内需要の高い日本酒
2023年度の日本酒の輸出量は約29,196kl、金額にして約410億8200万円になりました。ウィスキーと同じくこちらも、量、金額とともに、前年度の80%とわずかに減少しました。減少の理由は、輸出量・金額の半数を占める中国とアメリカの影響が大きいです。
中国では、景気減速や日本産水産物輸入の一次停止等の措置に伴う高級日本食レストランの不振の影響、アメリカでは、 2022 年入荷在庫の調整、人員不足やインフレによる消費マインドの後退の影響が考えられます。
国別の輸出金額第1位は中国で、約125億円となりました。中国における日本酒は、高級酒として富裕層を中心に人気を集め、好みの日本酒をレストランに持ち込んで楽しむスタイルが見られていました。
しかし、景気後退や日本産水産物輸入停止により現地の高級日本食レストランでの需要が減少したことから前年度比マイナスとなりました。
また、輸出数量第 1 位のアメリカでは、2022年度の在庫調整やインフレなどが影響し 、約6,502klという結果になりました。
一方、輸出金額が伸びたのは、韓国 (約29億円)、台湾(約27億円)のほか、イタリア、ブラジル、スペインが昨年度の実績より上回りました。
全体的な輸出量・金額は2022年度を下回りましたが、それでも最高の水準であると言えます。
2023年、韓国で大人気となったビール
2023年度、唯一輸出量・金額が増加した日本産酒はビールです。輸出量は前年度比プラス66.6%、金額は約179億600万円になりました。
特筆すべき輸出先は、韓国です。なんと2022年度と比べて、韓国への輸出額は約87億円となり、前年度の4倍近くにもなっています。これにより、同国のビール輸入総額の中で、日本産が約25%を占めることになりました。
ここまで輸入量が増えたきっかけの1つとして、アサヒビールが出している『アサヒスーパードライ生ジョッキ缶(以下、生ジョッキ缶)』があります。蓋を開けると生ビールのように泡が湧いてくるユニークさが受け、韓国のSNSで話題をさらいました。
もともとは日本人を意識した商品でしたが、6月以降、輸入が好調に伸びました。その結果、日本が韓国のビール輸入先として独走しています。
それ以外の地域では、欧米でもよく飲まれています。ダークビールではアメリカやイギリス製のものが好まれていますが、口当たりが軽く、比較的飲みやすい日本のビールは人気が高いです。
海外人気の高い梅酒を中心としたリキュール
2023年度のリキュールの輸出金額は約124億3300万円と、前年度比90%でした。ここでは、梅酒についてお話します。
海外では、300年以上続く歴史を持つ伝統的な日本の酒として、欧米を中心に高い人気があります。
また、梅の爽やかな香りと程よい酸味が食欲を引き立ててくれるとして、食前酒として好む人も多く、「甘くて飲みやすい」と海外の女性に好評です。炭酸や緑茶で割ってカクテルのように様々に楽しめるのも梅酒が海外で広まった一因のようです。
栄養もミネラルやビタミン、クエン酸が豊富で、疲労回復や美肌効果があります。そのため、健康志向が高まっている昨今にはぴったりな飲みものです。
2022年には、アメリカ最大の酒類コンペティション 「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC2022)」 のリキュール部門において、それぞれ金賞と銀賞を受賞した梅酒もあり、海外における存在感が大きくなってきています。
海外輸出量・金額ともに低迷する焼酎
2023年度の焼酎の輸出金額は約16億4100万円で、前年度比75%でした。全体に占める割合としては1.2%で、まだまだ認知度向上や輸出額拡大の余地があるといえます。
日本酒造組合中央会・理事の宇都宮氏は、「ここ 30 年で日本酒の国内出荷量が 1/3 に減る一方、焼酎・泡盛は逆に 2 倍に増えたため、日本酒が国内需要の低迷から早い段階で海外に目を向けたのに対し、焼酎・泡盛は積極的に海外に目を向ける必要がなかった」(ジェトロ)と言っており、日本国内の需要が多かったからこそ、海外展開やマーケティングが遅れてしまっていると指摘しています。
2008年の時点では、焼酎の輸出量がウィスキーの輸出量を上回っていましたが、その後は低迷しています。この低迷は宇都宮氏の指摘の通り、マーケティングの不足が要因だと考えられます。
家庭内消費などのマーケット・インができているウィスキーに対し、焼酎は日本食レストランで扱ってもらうことにフォーカスを当てているため、コロナ禍を経て外食需要が落ち込んだ時に大きな影響を受けてしまっています。
おわりに
本記事では、日本産酒の海外輸出の傾向と人気について解説しました。
多くの日本産酒が海外で高い人気を得ていることがわかりましたね。今は低迷している焼酎ですが、ウィスキーが人気を急上昇させたように、マーケティングのやり方次第で、この状況を脱却することは可能です。
今後の日本産酒の動向にも注目していきましょう。
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