日本への旅行者のニーズは、急速に変化していきます。SNSでは四季折々の風景や、京都の古い寺院や東京の商業施設、日本ならでは独自の食文化が紹介されています。

現代人が旅行にもとめているものは?

体験型旅行

  • データ出典:USトラベル・アソシエーションの2023年調査
  • 現状:旅行者の多くが「体験」を重視しており、文化体験、現地の食文化、アドベンチャースポーツなどが人気です。特に若年層は、SNSで共有できるユニークな体験を求めています。

ウェルネス旅行

  • データ出典Global Wellness Instituteの2023年報告書
  • 現状:健康とリラクゼーションを目的とする旅行が増加しています。スパリゾート、ヨガリトリート、自然療法などが人気で、ストレス解消や心身のリフレッシュを求める旅行者が多いです。

サステナブル旅行

  • データ出典:Booking.comの2023年「持続可能な旅行レポート
  • 現状:環境に配慮した旅行がもとめられています。エコフレンドリーな宿泊施設、現地の文化や自然を尊重するツアー、カーボンフットプリントの低減を意識した旅行計画が増えています。旅行者の76%が持続可能な旅行を重要視しています。

デジタルデトックス

  • データ出典:Expediaの2023年「トラベルテックレポート」
  • 現状:テクノロジーから離れ、自然とのつながりを求める旅行が人気です。スマートフォンやインターネットから解放されることで、リラックスし心の健康を保つことが目的です。

リモートワークと旅行の融合

  • データ出典:Airbnbの2023年「トラベル&ワークトレンド」
  • 現状:リモートワークの普及にともない、旅行と仕事を組み合わせるワーケーションが増加しています。旅行先で仕事をしながら、新しい環境での生活を楽しむひとが増えています。

パーソナライズド旅行

  • データ出典:Tripadvisorの2023年「旅行者の行動調査」
  • 現状:旅行者は自分の興味や好みに合わせたカスタマイズされた旅行をもとめています。AIを活用した旅行プランニングツールや、個別のニーズに応えるオーダーメイドツアーが人気です。

これらの内容を鑑みると、現代の旅行者はただ観光地めぐりをしたい訳ではなく、自分自身の好奇心や価値観に合った特別な体験をもとめています。
持続可能性、健康、パーソナライズドな体験が重要視される中、旅行業界はこれらのニーズに対応するサービスや商品を提供する必要があります。

旅行地のトレンドとなっている国は?

近年、旅行地としてトレンドの国がいくつかあります。とくに人気が高まっているのは、アイスランド、日本、ポルトガル、コスタリカでしょう。これらの国々は、現代の旅行者が求めるものを多様なかたちで提供しています。

アイスランド

提供される体験

  • 自然体験:アイスランドは、壮大な自然景観やユニークな地形が魅力です。旅行者は氷河ハイキング、温泉、オーロラ観賞などの体験をすることができます。
  • サステナブル旅行:持続可能な観光に力を入れており、多くのツアーが環境に配慮した運営をしています。エコフレンドリーな宿泊施設や、地元食材を使ったレストランの数も多いです。
  • デジタルデトックス*1:広大な自然の中で、インターネットから解放され、リフレッシュする旅行プランは特に人気です。

(*1 デジタルデトックス・・・スマートフォンやコンピュータ、タブレット、テレビなどのデジタルデバイスの使用を制限したり一時的に完全に断つことで、健康を取りもどすことを目的とした活動や取り組み。)

◎アイスランドの豆知識

生活費はかなり高く、レイキャビク(首都)の宿泊施設は、近隣の北欧諸国とくらべても10~30パーセント高いといいます。こうした費用面での出費を考えても、世界中のひとが訪れたくなる場所でもあります。

ポルトガル

提供される体験

  • 歴史と文化:リスボンやポルトなどの都市は、歴史的建造物や文化遺産が豊富です。ワインツアーや音楽フェスティバルも人気です。
  • サステナブル旅行:ポルトガルは持続可能な観光地として認識され、エコツーリズムやサステナブルな宿泊施設が多くあります。
  • ウェルネス旅行:ビーチリゾートや田舎のリトリート施設で、リラックスと健康を重視した旅行が提供されています。

◎ポルトガルの豆知識

ポルトガルは世界経済においては、中堅の位置にいる国です。名目GDPは世界ランキングでは50位前後。生活費は西ヨーロッパ諸国の中では手ごろです。隣国のスペイン、フランス、イギリスからの訪問者は多いですが、近年ではアメリカ合衆国からの訪問者も増えています。

ただ短期的なバケーションレンタルの増加によって、住宅市場が逼迫されているため、都市での住民による抗議活動も増えているようです。

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コスタリカ

提供される体験

  • エコツーリズム:自然保護区や国立公園が多く、エコツーリズムの先進国として知られています。熱帯雨林のハイキング、野生動物観察、サーフィンなどが楽しめます。
  • サステナブル旅行:環境保護に重点を置いた観光業が発展しており、エコロッジや持続可能なツアーが充実しています。
  • 冒険旅行:ラフティングやジップライン、火山探訪など、アドベンチャー旅行が豊富で、体験重視の旅行者に人気です。

◎コスタリカの豆知識

コスタリカは国土の約25%が国立公園でや自然保護区になっており、多彩な自然環境を楽しむことができます。物価に関しては中南米のほかの国と比較しても高めの傾向があります。首都のサンホセや主要の観光地では、レストランでの食事は1,000円を超えることが一般的。場合によっては2000円近くなることもあります。

ホテルの料金も日本と同様か、それ以上となる場合があることは知っておきましょう。このような点をみると、欧州や北米、アジア諸国からの旅行客が多いことは容易に想像がつくでしょう。

日本

提供される体験

  • 文化体験:日本は伝統文化と現代文化の融合が魅力とされています。茶道、書道、着物体験などが旅行者に人気です。
  • ウェルネス旅行:温泉地やリトリート施設が多く、心身のリフレッシュを求める旅行者が集まります。ヨガリトリートや禅体験なども提供されています。
  • パーソナライズド旅行:旅行者の興味に合わせたカスタマイズツアーが豊富で、グルメツアー、歴史探訪ツアーなどさまざまなニーズに応えています。

◎日本は世界からどう見えているのか?

日本の文化的な独自性や、「侘び寂び」「和」の世親は、他国とは異なる美学と哲学を持っているように感じられます。たとえば西欧文化が個人主義的で華美であることを重視する傾向があるのに対し、日本では静謐さ、簡素さ、調和を尊ぶ側面があります。

これまで旅行者が育ってきて、なじんでいる価値観とは異なる考え方に触れることで、旅行者の中に内省的なフィードバックが起こるのかもしれません。

また円安の流れから、さまざまなサービスが割安で受けることができるのも、魅力のひとつになっています。

旅行者のニーズを深く理解するために、在留外国人へのアンケートは有効?

旅行者のニーズを深く理解するために、日本在住の外国人に対して大規模なアンケートを取ることは有効です。以下にその理由をデータを引用しつつ、その有用性について説明いたします。

◉豊富なインサイトを得られる

日本在住の外国人は、旅行者と同様に日本の観光地や文化体験を日常的に楽しんでいます。彼らの意見を収集することで、旅行者の視点からのフィードバックを得ることができます。
たとえば東京都や大阪府では、
多様な国籍のひとびとが生活しており、多角的な視点からの意見が得られます。

◉リピーターと同じ視点

観光客は短期間の滞在で日本を訪れるのに対し、在留外国人は長期間日本に住んでいます。これにより旅行者が気づきにくい、まだ可視化されていない魅力や、サービスや商品の問題点を見つけ出せる可能性が高くなります。

リピーターの観光客は、初めて日本を訪れる観光客より深い知識と理解を持っています。在住外国人の視点は、リピーターの視点と一致する部分が多いといわれています。

◉多様な背景とニーズを知る

在住外国人は多様な国籍の方で構成され、さまざまな文化背景を持っています。その多様性は旅行者のニーズについても幅広くカバーするといえます。

「訪日外国人消費動向調査」(2023年)によれば、旅行者の消費動向やニーズは国や地域によって異なります。アジアからの観光客は買いものに重点を置く一方で、欧米からの観光客は文化体験に興味を示すことが多いようです。在住外国人の意見を収集すれば、ニーズをさらに深く知ることができます。

具体的な改善

在住外国人は日本での日常生活を通じて、日本の観光資源やサービスの改善点を詳しく知っています。観光庁の「地域別観光資源開発調査」(2023年)によれば、観光地の魅力を向上させるためには、利用者の視点からのフィードバックが不可欠です。たとえば「交通アクセスの改善」「多言語対応の充実」といった具体的な提案が期待できます。

信頼できるフィードバック

在住外国人は日本に長期間住むことで、日本の観光地やサービスについて質の高いフィードバックをすることができます。彼らの意見を収集し、分析することで、、観光戦略の策定に役立てることができます。

まとめ

上述しましたが、日本在住の外国人に対してアンケートを取ることは、旅行者の需要を知る上でも役立ちます。多様な視点と具体的なフィードバックを得て、観光地やサービスをさらに魅力的にするためのデータを収集できます。

もし在留外国人へのアンケートをご希望の方は、ぜひ一度ご連絡ください。