日本は世界中から観光客を迎え入れており、国内のインバウンド需要が急速に増加しています。観光庁のデータによれば、2024年には約3310万人の外国人観光客が訪れると予測されています。

この観光客増加の傾向の中で顧客基盤を広げていくためには、多言語対応が重要になってきます。

本記事では、多言語対応が企業にもたらすメリットを紹介します。加えて、多言語対応が成功に繋がった具体的なサービスを挙げて詳しく説明していきます。

多言語対応による企業のメリット

 競合他社との差別化

多言語対応を行うことで、競合他社との差別化が図れます。特に観光業や小売業では、多言語対応が顧客の選択基準となることが多く、他社よりも優位に立てる要素となります。

例えば、浅草で着物の着付け体験を行っている店A、Bがあるとします。Aのスタッフは日本語でしか対応できません。一方、Bでは英語をはじめとした数か国語で対応できるスタッフを配置し、同じく数か国語で着付けの手順が書かれた紙が用意されています。

この場合、外国人観光客がBの店を選ぶことは明白ですね。言語の壁から生じるストレスに煩わされることなく、スムーズにサービスを享受できることが、顧客満足度の向上に繋がります。

そのため、できるだけ多くの言語で対応することにより、他社との差別化を図ることができます。

顧客基盤の拡大

また、顧客満足度が高ければ高いほど、リピートの獲得にも繋がります。

加えて、インスタグラムなどのSNSで「○○の対応がすごく良かった!」「日本に行くときは○○を使ってみて!」といった紹介をしてもらえれば、興味を持ったフォロワーが訪日した際に利用してもらえるかもしれません。

このようなSNSの紹介により、先述した顧客基盤の拡大が可能です。

もしグローバル展開を目指している事業を取り扱っている場合は、やはりこういった形での認知を進めることが重要になってくるため、大きいメリットと言えるでしょう。

まとめると、多言語対応による企業のメリットとしては、

顧客満足度向上による競合他社との差別化

顧客満足度向上による顧客基盤の拡大

以上の2点が挙げられます。

 

コアは「顧客満足度向上」

上で挙げた2点のメリットには、どちらにも「顧客満足度向上」が含まれています。この「顧客満足度向上」には、どのようなことが必要なのでしょうか。

多言語対応というケースで見てみると、以下の3つの要素に分解できます。

顧客のニーズ対応

円滑なコミュニケーション

言語の壁によるトラブルの減少

これらの要素は、全て「ストレスフリー」という特徴があります。せっかくの旅行で、その土地ならではの体験をしたいのに、言葉が通じないためにスムーズにできなかったり、トラブルが起きてしまったりすると、どうしてもイライラしてしまいますよね。

そのため、少なくとも多言語対応においては、ストレスフリーであることが顧客にとって非常に重要なものになってくるのです。

成功事例:「Payke(ペイク)」訪日外国人向け買い物サポートアプリ

ここからは、具体的な成功事例である「Payke(ペイク)」というアプリについて詳しく説明していきます。

Paykeとは、訪日外国人の買い物をサポートするアプリです。アプリ内のカメラで商品のバーコードを読み取ると、自身が設定した言語で商品情報や口コミを読むことができます。

対応している言語は中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、英語、ベトナム語、タイ語、日本語であり、日本語が不自由な訪日外国人にとても人気のアプリになっています。

2024年1月時点で、累計ダウンロード数は450万を突破しており、そのうちの99%が外国人だそうです。また、旅行の時に利用した人たちがSNSを通じて、日本旅行に役に立つアプリとして紹介してくれているため、ユーザー数が増やせるとのこと。

今では1300社以上50万点の商品に対応しており、今後も帰国後にお気に入りの商品を再購入できる有料サービスを開始する予定があるなど、まだまだ成長が見込まれるサービスです。

これからも分かる通り、顧客満足度向上が顧客基盤の拡大にダイレクトに繋がっています。

日本語が読めないから何の商品か分からない、といったことがアプリ1つで無くなることがストレスフリーな観光の支えになり、結果的に満足度が高くなっているのでしょう。

おわりに

いかがでしたか? 多言語対応は訪日外国人のストレスをなくし、企業にとっても他社との差別化と顧客基盤の拡大を図れるということが分かりましたね。

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