日本企業が在留外国人やインバウンドでの観光客のニーズをつかむために、調査・リサーチをする重要度は日毎に増しています。オーバーツーリズムの問題もあり、旅行客と地元住民の関係性もここ最近急速に変化しています。

そんな中で変容していく観光客のニーズを深く理解することは、商業活動の利益にダイレクトにつながります。「どんな商品、サービスが好まれるか」「どんな体験をもとめているか」など、調査で得られるインサイトは企業にとって非常に大切です。

調査会社はどう選べばいい?

日本で外国人(旅行客や在留外国人)に対する調査を行う会社を選ぶときは、目的や対象に合った調査ができるかデータの信頼性専門性などの観点がとても大切です。以下のポイントに注意しながら調査会社を選ぶと、クオリティの高い調査をすることが期待できます。

ポイント1:対象者の属性に強い会社か

外国人向け調査には「訪日外国人」と「在留外国人」で対象者の属性が異なります。

①訪日外国人 ・・・ 観光目的で短期間滞在する人々
②在留外国人 ・・・ 日本に住んでいる長期滞在者

調査会社によって得意な対象層が異なるため、以下のように選びましょう。

①訪日外国人 ・・・ 空港や観光地、SNSを活用して効率よくリーチできる会社など
②在留外国人 ・・・ 日本にある外国人コミュニティ、外国人向けイベントに強い、日本語学習のコンテンツをSNSで扱っていてフォロワーを集めている会社など

しかし現在ではSNSをうまく活用して、訪日外国人にも在留外国人にも広範囲にリーチできる会社もあります。問い合わせをして、実際に担当者から話をするときには、訪日外国人、在留外国人どのくらいのバランスでリーチできるのかを質問してみましょう。

ポイント2:多言語対応が可能か

外国人への調査では、言語の壁が大きな課題になります。調査対象者が英語以外の言語を母国語とすることも多いため、つぎのポイントを確認しましょう。

多言語対応アンケート

英語・中国語・韓国語など主要な言語で調査が可能か? またインドネシア語、タガログ語、ネパール語など、調査でターゲットにしたい国に対しての対応が可能か

ネイティブスタッフの有無

翻訳やインタビューのときに正確な情報を収集できるか?

多言語サポートが不十分だと、データのクオリティが低くなってしまうので注意する必要があります。

ポイント3:調査方法の選択肢が豊富か

調査会社によって対応可能な調査手法が異なります。目的に応じた調査手法を提案してくれる会社を選びましょう。

調査方法内容
定量調査アンケート形式で数値データを収集(例:外国人観光客1000人の意識調査)
定性調査インタビューや座談会で深い意見や感情を把握
フィールド調査観光地や商業施設での現地調査

たとえば観光地における調査なら「フィールドワークに強い企業」、オンライン調査なら「WEBアンケートの専門会社」が適しています。

ポイント4:データ分析の精度と報告体制

集めたデータをどのように分析し、つぎのアクションにつなげるかが市場調査の核心です。そのため、つぎの点を確認する必要があります。

  • 分析力:データの集計やグラフ化、トレンドの読み解きができるか
  • AIやデジタルツールの活用:効率的に大規模データを分析できるか
  • 報告書の分かりやすさ:調査結果が具体的な施策につながるような提案があるか

ポイント5:実績と信頼性があるか

過去に外国人向け調査の実績がある会社は、スムーズに調査を進められることが多いです。つぎのポイントを確認しましょう。

  • 事例紹介やクライアントリスト:外国人向け調査の成功事例があるか
  • 業界経験:観光・小売・飲食など、自社ビジネスに関連する分野の調査経験が豊富か

信頼性の観点では、大手調査会社専門特化型の調査会社を選ぶと安心と言えるかもしれません。しかしながら新しくサービスを立ち上げた調査会社も、競争性のある価格帯でサービスを提供できたり、ほかの事業で作ってきた独自のデータベースを持っていることもあります。

話をしっかりと聞いてみて、ご自身のニーズに答えてくれる会社を探してみましょう。

ポイント6:コストとスケジュール感

調査にかけられる予算や、期間に合った会社を選ぶことも重要です。以下の観点を確認しましょう。

  • 費用の見積もり:小規模調査か、大規模なリサーチかによって価格が異なる
  • 調査期間:現地調査、アンケート回収、レポート作成にかかる日数

とくに短期間で結果が欲しい場合は、柔軟な対応ができる会社を選ぶ必要があるでしょう。

リサーチの手法 定量調査と定性調査

ではリサーチの手法について、整理しましょう。調査は一般に「定量調査」と「定性調査」があり、それぞれさまざまな手法があります。

定量調査とは?

定量調査とは数値データを収集・分析することで、特定のテーマや現象を客観的に把握する調査手法です。定量調査は回答を数値化し、統計的に分析できるため、結果を基にした一般化や予測が可能です。

おもにアンケートやテスト、既存データの分析などを通じて行われます。

定量調査の特徴

特徴内容
客観的なデータ定量調査は具体的な数値やデータを収集するため偏りが少ないです。
信頼性が高い結果を得ることができます。
大規模なサンプル多くの場合は、大規模なサンプルを対象に実施されます。
統計的な処理を通じて全体傾向を把握できます。
統計的手法の活用収集されたデータは平均値、中央値、相関係数などの統計的手法を用いて分析されます。
結果を視覚化することが可能です。

メリット

・結果が数値化されるため、具体的な分析が可能

質問に対する回答が数値で表されるため、後のデータ分析や比較が容易です。

・大規模調査に向いている

オンラインアンケートや電話調査など、広範囲の対象者に対して同じ質問を一度に行えるため、大規模な調査に適しています。

デメリット

・柔軟性が低い

定量調査は事前に決めた質問に対する回答を数値で収集するため、個々の回答者の詳細な意見や感情などを把握することが難しいです。

・深掘りが難しい

質問が固定化されているため、予期しない新しい知見を得るには限界があります。

定量調査の具体例

① 顧客満足度調査

顧客がサービスに満足しているかを1~5のスケールで評価してもらう調査が一般的です。

② 市場シェアの調査

製品の市場シェアを把握するために、販売数や市場占有率を調査します。

 

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定量調査は、結果を数値として示すことができるため、意思決定に重要なデータを提供するツールとして非常に有用です。

定性調査とは?

対象者の行動や意見、感情、価値観を深く理解するために、数値化されたデータではなく、おもに言葉や観察を通じて情報を収集する調査手法です。おもにインタビューやフォーカスグループ、観察法などを通じて実施され、得られたデータを解釈し、現象の背景や原因を明らかにすることが目的です。

定性調査の特徴

特徴内容
柔軟性定性調査では、オープンエンドの質問を使用し、対象者の自由な意見や感想を聞くことができます。
これにより、予期しない新しい情報や洞察を得ることが可能です。
少人数のサンプル定性調査は、主に少人数を対象に行われ、質の高いデータを得ることが目的です。
結果の一般化は難しいですが、個々のケースを深く理解するのに役立ちます。
詳細な洞察ひとびとの行動や選択の背後にある理由を深く探ることができます。
感情や動機、価値観などの深層的な要素に焦点を当てます。

メリット

深い洞察を得られる

対象者の考えや価値観の詳細を掘り下げて理解することができ、新しい視点や仮説を発見できることがあります。

・予測できない発見

事前に予測できない回答や新しいトピックが出てくる可能性があり、それが次のステップでの調査や戦略立案に役立ちます。

デメリット

・結果の一般化が難しい

少数のサンプルから得られる結果は、全体を代表するものではないため、結果を全体に当てはめることが難しいです。

・分析に時間がかかる

データは数値ではなく言葉や行動なので、分析に手間がかかり、専門知識が求められることがあります。

定性調査の具体例

① インタビュー

一対一でのインタビューを通じて、個々の体験や意見を深く掘り下げる調査。

② フォーカスグループ

数名のグループに集まってもらい、テーマに沿ってディスカッションを行う調査。参加者同士の意見交換から新しい視点が得られます。

③ 観察法

対象者の自然な行動を観察し、そこから得られるデータを分析する方法です。

 

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定性調査は、数値データでは捉えきれない「なぜそう考えるのか」「どう感じているのか」といったひとびとの深い動機や感情を理解するのに有効です。

おわりに

評判のいい調査会社を探すための、気を付けるべきポイントについて説明してきました。

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