在留外国人の労働者へアンケートを実施! 日本企業のいい点、働く際のストレス要因についても紹介
日本企業で働く外国人労働者が増えています。そのため、外国人が日本や日本の会社に対してどう感じているかを知ることは、企業の運営や職場環境を改善するために大切です。
今回は「日本企業のいい点」や「ストレス要因」について日本で働いたことのある外国人にアンケートを実施しました。外国人労働者が日本企業での経験について、どう感じているかを詳しく調査しました。
具体的な経験談や、彼らの意見・フィードバックをもとに、職場環境の改善に役立てるヒントも紹介します。外国人をすでに採用している方、外国人の採用を新たに検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
在留外国人労働者を対象にアンケート
日本国内の外国人労働者を対象としたアンケート調査の回答数は、合計で106件でした。回答者のおもな情報は、以下のようになります。
項目 | 内訳 |
国籍 | フィリピン:54.7% ブラジル:9.4% ネパール:5.7% |
性別 | 男性:37.7% 女性:62.3% |
日本に滞在している期間 | 5年以上:65.1% |
日本での居住地 | 東京都:21.7% 神奈川県:18.9% 埼玉県:9.4% |
ビザの種類 | 永住者:33% 定住者:19.8% |
日本語能力 | 日常会話レベル:58.5% |
性別については男性が37.7%、女性が62.3%です。
回答者の国籍はおもにアジアの国が多く、最多は54.7%のフィリピンでした。
日本企業に対しての印象
今回のアンケートでは、回答者のうちで41人が日本企業に対して「労働条件がいい(例: 福利厚生、休暇制度)」とのポジティブな印象を持っています。
日本の企業は、福利厚生や休暇制度が充実していることが多く、このような側面は外国人にとってもいい印象を与えています。たとえば育児休暇、社員旅行、スポーツジムの割引、また住居面での補助などが整っている会社もあり、これらが労働条件のよさとして評価されているのでしょう。
とくに社内行事やクラブ活動は日本の企業文化の一部です。
多くの日本の企業では、社員同士の交流や健康促進のために、スポーツ大会や文化イベントなどの社内イベントを行っています。海外にもクラブ活動はありますが、日本の企業のように積極的に支援したり、多様な活動を行う文化はあまりみられないことが多いです。
質問1:日本企業における職場の多様性や文化的な応対
日本企業における職場の多様性や文化的な適応について、回答者の32.3%が「とてもポジティブ」と答えました。
日本企業が多様性を受け入れ、異なるバックグラウンドを持つひとたちにチャンスを提供している姿勢が評価されています。文化的な違いに対する理解や支援があれば、外国人労働者が職場にスムーズになじむことができます。
この32.3%の回答は、日本企業が多様性を積極的に受け入れ、文化的な適応をサポートしていることが高く評価されていることを示しています。その結果、職場環境が改善され、外国人労働者が働きやすくなっていると考えられます。
質問2:日本企業で働いてストレスに感じたことは?
日本企業で働いてストレスに感じた点として、64人が「言語の壁」、43人が「長時間労働」「コミュニケーションの難しさ」と答えました。
日常的なコミュニケーションが難しいと、同僚との交流やチームワークに影響を及ぼすことがあります。言語の違いによるストレスを軽減するためには、オープンでサポートが受けられるコミュニケーション環境を整えることが重要です。
また外国人労働者が、言語に関する問題や不安な気持ちを相談できる機会をつくるのもいいでしょう。
話が通じないこと、長く働かないといけないこと、これらの点に関して外国人が不満に思う前に、会話してあげられるとよさそうです。
外国人労働者の具体的な経験・意見
日本企業での具体的な経験や意見について、外国人労働者に質問しました。
以下のような意見が寄せられました。
Aさん:
「休暇に関しては日本独自の考え方があります。多くのヨーロッパ人は、夏休みやクリスマスの時期に長めの休暇を取りたがります。しかし日本では、盆休みや正月に長い休みが与えられます。多くのヨーロッパ人にはクリスマスの休暇がとても重要であることを、会社に説明するのが難しいことがあります。」
休暇の取り方における文化の違いは、外国人労働者にとってはストレスの原因になることがあります。
それぞれの文化圏で長い休暇への考え方や時期が異なることに、問題意識を持っている方は多いようです。
Bさん:
「日本の会社で働くことは、日本の方々との公平な扱いを受けられるし、いい経験です。ただしわたしたちが直面するもっとも大きな問題は言語の壁でしょう。そのため日本語の勉強をがんばりたいです。」
Cさん:
「ときどき難しい言葉で説明されることがあり、わたしには理解が難しいです。ジェスチャーや簡単な言葉で補足しながら伝えて欲しいですね」
Dさん:
「コミュニケーションの問題に直面するたびに、友人の同僚に助けをもとめたり、もっと簡単な日本語で説明してもらえないかお願いすることはあります。」
* * *
これらの実際の体験からも明らかになりましたが、言語の壁は日本で働く外国人にとって重要な課題です。難しい言葉や専門用語に対処するために、よりやさしい言葉での言い換えや、身振りをしながらの説明が役立ちます。
また、友人や同僚からのサポートを受けることで、これらの問題を解決できることもあります。企業側はコミュニケーションの壁を取り除くため、支援体制や言語サポートを充実させる必要があるでしょう。
外国人労働者が職場に満足していること、具体的な経験
今回のアンケートの自由解答欄では、上記のようなコメントもありましたが、反対に職場になじんでいるケースも多く、ポジティブな声も多かったので紹介します。
Eさん:
「毎日、笑顔で仕事を楽しんでいます」
Fさん:
「新しい職場で勤務を始めたとき、センパイがとても親切でした。仕事への態度だけでなく、わたしの生活や経験についても知りたがってくれ、さまざまなことを共有しようとしてくれました。さらにわたしとより良好なコミュニケーションを取るために、英語を学ぼうとしてくれました。」
Gさん:
「現在の会社では、社員一人ひとりの誕生日を祝います。ほんとにすばらしいです! 内気な同僚も含めて、みんなが楽しんでいます。チームワークを築くのに役立ち、みんながさらに親しくなります。」
Hさん:
「わたしが神楽坂で働いていたときの経験が最高でした。みなさんがとても親切でした。たまにわたしが作ったフィリピン料理を持参すると、みんなも料理を持ってきてくれましたし、もちろんわたしが持っていった料理も気に入ってくれました。仕事について質問すると、時間を取ってより詳しく説明してくれました。」
Iさん:
「わたしの日本の友人たちは、仕事でとても助けてくれます。わたしが必要とすることをすべてサポートしてくれ、いつも手助けしてくれます。マネージャーもとても親切で、チーム全員で協力して働いています。」
Jさん:
「日本の同僚たちはとてもリスペクトされており、助けてくれます。そのため、わたしは真剣に仕事に取りくみ、彼らのリスペクトを得るために最善を尽くしています。」
* * *
これらの経験談から、多くの外国人労働者が日本の職場でいい経験をしており、職場の雰囲気がとてもいいことがわかります。
EさんやGさんのように笑顔で仕事をすることや、チームのメンバーひとりずつの誕生日のお祝いが、チームワークや社員同士の親しみを深めるのに役立っています。またFさんやHさんのコメントから、先輩や同僚のサポートや交流が、外国人労働者の職場適応にとても役立っているとわかります。
とくに「生活や文化について理解を深めようとする姿勢」や、「料理を通じた交流」は職場の人間関係を良好に保つのに効果的です。
アンケート結果まとめ、改善のヒント
外国人労働者は、日本企業の充実した福利厚生や休暇制度、多様性への理解と良好な職場雰囲気を評価しています。一方で言語面で高い壁があること、長時間労働に対するストレスを感じているといえます。
以下の改善ヒントをおすすめします:
コミュニケーションのサポート
言語の問題を軽減するために、オープンでサポートが受けられる環境や、言語サポートを充実させる。
労働時間の管理
残業を減らし、業務の負担を見直すことで、働きやすい環境を提供。
ポジティブな職場文化の維持
笑顔での仕事や社員の誕生日祝いなど、職場のポジティブな文化を維持することで、全体の士気やチームワークが向上。
サポート体制の充実
先輩や同僚からのサポートや文化交流を促進し、外国人労働者が安心して働ける環境を整える。
協力と尊敬の精神
チーム全体で協力し、たがいに尊敬し合うことで、職場の良好な関係を築く。
* * *
これらの要素を大切にすることで、日本企業での外国人労働者の満足度がさらに向上し、良好な職場環境が実現できるでしょう。
ほかにも在留外国人に向けて、アンケートを定期的に取っていますので、ぜひ定期的にチェックしてみてください。
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